首の形状、長さ、および動きの範囲は、大部分は椎骨の連結が成すS字状の曲線に依存します。

走行中に、頭と首は方向転換や瞬時の動きをするうえで適切なバランスを保つことが重要ということをこれまでに解説してきました。

頭部から肩にかけて連なっている7つの椎骨を頸椎と言います(頭部から肩にかけて順に第一頸椎~第七頸椎)。

その中で、首を横に振ったり曲げたりしてバランスを整えて視覚の焦点を合わせる動きを助けているのが先頭の第一頸椎と第二頸椎です。

これらは頭と首が交わる角度にも影響を与え、第三頸椎を含めた頭部側(前方)のS字状曲線がゆるやかであれば柔軟性に豊むと考えられており、逆に急な場合はこの角度がきつくになり窮屈になります。

同様に、後方の第五頸椎~第七頸椎の成す曲線も適度にゆるいのが理想です。

以前解説したように、首根っこ部分が肩端よりも高い位置にあることが前提ですが、馬自身の首の動かしやすさ・柔軟性、騎乗する側としては操作性に優れている馬が多いのです。

では、上に4頭の図がありますが、どのような形が最も理想的かと言いますと、

ズバリ、①の馬が理想的です。

他の3頭と比較すると、前方・後方の曲線ともに(黄色四角部分赤色四角部分)が適度にゆるやかなのがわかります。

そして、首のトップライン(頭部からキ甲までのライン、水色線で示しています)は外観上アーチ状を描くのも特徴です。

それに対して②のタイプは、前方の曲線が急(きつい)で、頭部が首に対して直角をなし、窮屈な印象を与え、柔軟性にも欠けます。

また後方の曲線が深く幅広いことが多く、外観上それは付け根部分の首が太く、キ甲の手前がくぼんでいるように見えることもあります。

そして、この頸部構成が見られる多くの馬は立ち気味の肩をしています。

首が短い馬は、余計に前方の曲線が急になり、頭と首の間に比較的厚い、柔軟性のない接合部を形成する傾向があります。

逆に首が長い場合は、前方は長い曲線を成し、外観上首の形は凸ではなく、凹に見えます。

ただし、このタイプで首が短いか長いかどうかにかかわらず、頭部で屈曲するのが楽ではなく、人間のハミからの指示に逆らうために頭を過剰に無理矢理上に上げる習慣を身に着けさせてしまう可能性もでてくると言われています。

③のタイプは、前方の曲線はある程度ゆるやかですが、後方の曲線は②と同様に深く幅広いことが多く、外観上それは付け根部分の首が太く、外観上首の付け根が肩端よりも低い位置にあることが多いのです。

柔軟性に欠けます。

 

最後に④のタイプですが、曲線がほぼなく、直線に見えます。外観上の首のラインも直線に見えます。

適切に屈曲し、バランスをとる能力に限界があります。

 

以上4つの首の形を上げましたが、写真のみで判断するのは正直、決定的ではありません。

なぜなら、写真はあくまで静止画であり、写真を撮るタイミングは何度かあり、その瞬間瞬間に馬は少し動くのです。

なるべく自然体の姿勢で撮影しようとこちらも構えるのですが、そこは人間の言葉をまるごと理解できるわけではない生き物です。

以前の項で実馬の見るべきと私がお伝えしたのは、こういうことを含めて目の前で確認することが大切ということなのです。

展示されている馬は当然動きますが、立ち姿を見せている時はその馬自身の自然の姿勢をこちらに示してくれるはずなので、そこを見るのが一番です。

そして、これらは普段写真で見る逆側の立ち位置(頭が右側)から見て評価するので、カタログ写真のみでは想像しにくい時もあり、実際に馬を目の前にして逆側に立って見るのがオススメです。

 

さて、これらのタイプのうち、ここ最近の競馬で活躍している馬(オープン以上の重賞)の1歳時の姿を見ていると、①タイプの馬がトレンドと言えます。

詳しいお話はここではしませんが、

この道何十年という長い間馬産地で馬を見続けてきた人から、「首の形が○○の馬が昔はよく走ったけど、今は違うね。」という言葉を最近聞くことが何度かあります。

首の形のみで馬を評価すべきではないと思いますが、現代のトレンドというものを頭に入れておくだけで、視点は広くなりますし、絶対に無駄にはなりません。

コンフォメーション評価の一つとして是非参考にしてください。