前回は胸の形状から持久力に焦点を当てて解説しました。

今回は、同じく胸部を正面から見た時に運動能力に焦点を当てて考えることに焦点を当てながら解説していきます。

そもそも、馬は競走年齢に達した時に500kgを超える体重が珍しくない動物であり、それをあの細い脚が支えています。

よくよく考えてみると、とんでもないことです。

脚先に故障やアクシデントがあり、スムーズにレースを走れないことがあることをご存じの方はいると思いますが、

大きな身体を支えながら早く走るためには脚先だけ丈夫であれば良いということでありません。

 

前駆は筋肉によって連結している

 

繋(つなぎ)、今まで解説した肩の傾きなど、構造にさまざまなクッションを装備しています。

特に体重を支える前脚のクッションが重要ですが、前脚が背骨と連結する部分にも、衝撃緩和のための仕組みが施されています。

肩甲骨と背骨の間には関節がありません。

肩と背骨(胸椎)は、鋸筋など6種類の肩の筋肉と胸筋によって連結されています。

柔軟な筋肉が何重にも重ねられることによって、前脚から伝わる衝撃を柔軟に受け止めているのです。

 

胸の幅が影響すること

 

ポイント

・胸の幅が狭いのが良い

 

前脚と胴は、筋肉の帯によって結ばれており、これらの筋肉の付き方が胸幅にも表れます。

大きな筋肉の帯が付いていた方が、胸幅が広くなります。

強靭で脚力が強いイメージができますが、経験上、逆に胸幅が狭い馬の方が走る傾向があります。

狭いということは、筋肉の帯が締まっており、それにより動きのブレが少なく、動きに無駄がなくなり、滑らかになるのではないかと考えています。

逆に筋肉が豊富過ぎると動きがモタモタしてしまうのではないかと考えます。

前脚はあくまで後肢からの推進力を無くすことなく前に移動させることが役目であり、それを少しでもスムーズにこなせる身体構造が理想と考えられることから、

その理論からも納得でききます。

前回の持久力の観点から理論上は胸腔のスペースが広い方が持久力に富んでいることをお話したので矛盾しているように思えますが…

これまで、走る馬を見てきたことから考えられるのは、胸腔の深さがしっかりあれば、幅の広さはさほど重要に考える必要はなく、十分な持久力を兼ね備えられているということです。

日本の競馬は特にスピード力が必要です。持久力も大事ですが、それが体形に表れているものだと思います。

 

A

B

上の写真の2頭は前回も示したのですが、理想的な胸部構造をしているのはAの馬です。

胸の幅が狭いのはもちろん良いのですが、同時に胸が深い馬が良いです。

胸幅が狭く、さらに深さがないと、心肺能力に弱みをかかえます。

総合的に『胸が狭くて深い』馬が理想であり、オススメです。