あくまで全身構造に対するバランスが大事!
間が空いてしまいましたが、「背」の内容に戻って解説していきます。
走るうえでの背の重要性について以前お話しました。
また、馬の背中が比較的柔軟性がなく、故障する場所の一つでああるため、競走期を少しでも長く丈夫に過ごすためには大事なパーツであることも続けてお伝えしました。
では、どういった背がアスリートとして理想なのか、これからお伝えしていきます。
ポイント
・背中の長さは首よりも短くなくてはならない
・肩領域、背、腰領域の長さが均等であること
背の長さは、厳密に何cmが理想ということはありません。
個体によって身体の大きさは違い、走るときに全身を使って体重を前に推進させているので、各々のパーツのバランスが大事になってきます。
まず、前提として、背中の長さは首の長さよりも短くなくてはなりません。
上の写真をご覧ください。背中の方が短いですよね。
もし、この両者のバランスが理想とは異なる場合、例えば同じ長さまではいかなくともそこまで両者の長さが変わらない場合に考えられることは、
単純に首が短い、もしくは肩の傾斜がキツくて(肩が立っている)キ甲の位置がより前方に位置していて背中のが長いということです。
このことは、以前の記事「首の長さが与える影響」でお伝えした内容に結びつきます。
歩幅が小さくなり、疲労度も増すことにつながるので、馬選びの際に慎重に考える必要があります。
また、背中は身体の前方と後方を結んでいる重要な場所であり、後肢からの上向きの推進力を緩衝しながら無駄にせず少しでも前方へ進めるためにバランスをとっています。
さて、次に全身に対する背の理想的なバランスについてですが、
馬を横から見たときに、胸前部分からお尻(臀部)の最後尾部分までを3つの領域に分けて考えます。
前方から肩領域、背(キ甲と腰部の間部分)、腰領域(腰仙関節より後ろ部分)と表し、その長さに着目します。(上の写真をご覧ください。)
ズバリ…それぞれ3つが同じ長さであることが理想です。
走る馬は、このバランスが整っています。
そして、これらのバランスは1歳の頃にすでに整っており、古馬になっても変わりません。
早い時期に判断できるコンフォメーションの一つなのです!
ですので、募集時期に身体は成長段階にありますが、成長したからといって、これらのバランスが劇的に変わることはないので吟味できます。
また、名馬に多いとされる長躯短背の馬も実はこのバランスが整っています。
さて、例として使っている写真はおわかりになられている方もいるかと思いますが、
ジャスタウェイ号です。上の2枚が、種牡馬(古馬)になった時点での姿ですが、
下が1歳時のセレクトセールに上場された時の立ち写真です。
3つの領域のバランスがこの時点で均等になっており、成長しても変わっていないことがわかりますよね?
カタログを見る時に是非注目してみてください!